Searsが倒産に追い込まれた理由

日本でも報道されているSears(シアーズ)の倒産について、「Lessons from the Downfall of an Iconic Retailer」という題で、マーケティング会社eMarketerのトップアナリストがポッドキャスト(インターネットラジオ)で分析をしていたので、聞いてみました。

私なりに理解をした主な理由としては、下記の3点に集約されます。

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1.ショッピングモールの衰退

アメリカの典型的なショッピングモールはAnchor Store(アンカーストアー)と呼ばれるSears(シアーズ)、JC Penny(JCペニー)、Macy’s(メーシーズ)などの、何でも揃うデパート(通常は大手チェーン店)が2つから4つ入り、小さいサイズの店舗が50から100店舗入っています。一般的なショッピングモールのサイズは400,000 スクエアフィートです。ただし、オンラインショップの台頭により、ショッピングモールに人が集まらなくなりました。当然このAnchor Storeにも人が来なくなってきました。実際にMacy’sやJC Pennyも店舗閉鎖が多いデパートです。ショッピングモールと一緒に展開してきたSearsは、必然的に売り上げが落ちたと言われています。

私の家の近くにある(とはいえ、車で20分くらい行きますが)South Shore Shopping Mallのマップです。本当は3階建てですが、見やすいように1回のメインフロアーのマップだけ記載しています。アンカーストアーはMacy’s、Sears、Nordstrom、Lord and Taylorの4つです。

2.儲からなくなったので、投資をしなくなった。

このアナリストはDeath Spiral(デス・スパイラル)と表現していましたが、Searsは売り上げが上がらなくなったので、真っ先に投資をしなくなりました。結果として、システムが古くなり、在庫管理が行き届かず、在庫がない棚が目立つ、店員のトレーニングされないので、整理整頓ができていない、ごちゃっとした店舗になるなど、真っ先にStore Experience(ストアー・エクスペリエンス)が悪くなったそうです。実際に店舗の1スクエアフィート当たり、 1ドルも投資をしなかったそうです。ちなみに、JC Pennyはその4倍、Kohl’s(コールズ)は8倍、Best buy(ベストバイ)は15倍です。さらにはDigital Ad(オンライン広告)もしなくなったので、ブランドの露出度も少なくなりました。そして、何よりも、儲かっていた部門を切り売りしてしまったので、ますます会社全体で売り上げが上がらなくなっていったそうです。

 
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3.ブランド力の衰退

どのカテゴリーでも(例えばアプライアンス部門であれば、Best BuyやHome Depotが競合)競合他社がいるのに、競合他社と比べて魅力的なブランド作りができず、結果として消費者にアピールをしないブランドになってしまったことがあげられます。実際に2017年のホリデーショッピングをする小売店のリストの中では、Searsでお買い物をすると答えた消費者は3%以下で、リストの最下位だったそうです。どの小売店も消費の主役となるミレニアル層にアピールするように様々な仕掛けをしますが(例えば、前回のブログにあるMacy’sのThe Marketのように)、Searsはその努力すらしていなかったように見受けます。一言でいうと、ブランドとしての魅力がなくなってしまったというところでしょう。

100年以上の歴史を持ち、デパートの先駆けとして一時期はトップを走っていたSearsですが、大きく流動している小売業界、消費マーケットの時流に乗り切れなかったという印象です。そして、ある時点で前進することを止めてしまったのかもしれません。大手小売チェーン店とはいえ、常に小さな改革をして、前に進んでいかなければ、勝ち残っていくことはできません。このアナリストも常にStay relevantであることは必須と話をしていました。

ご参考までに、このPod Castは以下のリンクから聞けます。

https://retail.emarketer.com/article/lessons-downfall-of-iconic-retailer/5bca31f3b979f106d4e80914?ecid=NL1014

松浦